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環境問題の歴史

戦前の環境問題

戦前にも足尾銅山鉱毒事件,別子銅山煙害事件や大阪アルカリ事件,浅野セメント降灰事件などのような,かなり深刻な公害問題がありました。しかし,戦前の公害問題は,鉱山活動によるものや単独の工場による環境汚染が中心で,その被害も特定の地域の主に農作物に対するものでした。これは,日本の産業も繊維,雑貨などの軽工業が中心で重化学工業が少なかったうえに,日本本土に居住する人口が7,400万人(昭和19年)と,戦後ほど過密でなかったことなどによるものです。

戦後経済復興期(昭和30年以前

第二次大戦によって,日本の生産設備の3割から4割が破壊されたといわれます。戦後の10年間は経済復興の期間でした。この間,環境問題は社会問題となるほどではありませんでしたが,東京,大阪などの大都市では,工場の生産活動による大気汚染,水質汚濁などが徐々にあらわれはじめました。そこで,工場の設置を許可制にすることなどを定める条例がつくられるようになりました。

高度成長と公害問題の発生(昭和30~40年)

“もはや戦後ではない”という言葉で始まったこの期間には,石炭から石油へとエネルギー源の転換が行われ,石油化学工業が花形産業として各地に建設されました。そして,重化学工業コンビナートを中核とする地域開発計画が太平洋ベルト地帯の各地で展開されました。このような産業の発展のあとを追うように熊本県の水俣病,四日市の呼吸器系疾患等の不幸な事件が発生してきました。このため,国でも公害問題への取組みが始められ,工業用水法,工場排水法,水質保全法,ばい煙規制法など多くの法律が制定されました。同時に環境の保全のためには,社会資本の整備が非常に重要であることが認識されるようになり,下水道のような生活環境施設の整備計画が策定されるようになりました。

公害対策基本法の制定(昭和40~45年)

この時期は,経済の高度成長が続き地域開発が一層進展し,日本経済が飛躍的に拡大した高度経済成長期です。経済の高度成長は国民の生活水準を向上させ,敗戦時には想像もできなかったほど,豊かな生活を可能にしました。しかし,世の中よいことばかりではありません。環境汚染が全国的にみられるようになり,大きな社会問題となってきたのもこの時期です。第2水俣病といわれる阿賀野川の水銀汚染事件,イタイイタイ病などが相ついであらわれました。このような事情を背景として,42年に公害対策を総合的,計画的に推進するために,公害対策基本法が制定され,また騒音規制法,大気汚染防止法,航空機騒音障害防止法,旧海水汚濁防止法,公害健康被害者救済特別措置法(旧法)等の公害関係の法律が定められました。自動車の排気ガス対策も取り上げられました。

環境政策の確立(昭和45年以降)

45年末の国会は,公害問題の議論が沸騰し,「公害国会」といわれたほどですが,この国会で公害対策基本法の改正を柱とする法体系の抜本的な整備改正が行われ,環境行政は飛躍的な前進を遂げました。特に46年には環境庁が新設され,それまでばらばらに行われてきた環境行政が,総合的,積極的かつ強力に推進されることになりました。